欧米中の懸念要因に注目

欧米中の懸念要因に注目

欧州の政府債務危機で暮れた2010年だったが、2011年はどんな危機がやって来るのか、やって来ないのか。来るとすれば、危機の震源地は引続き欧州なのか、それともアジアにも飛び火するのか、まだ予断を許さない。

 

仮に、そうした危機が収まらないとしたら金融市場ではリスク回避の動きが支配的になり、円高は収まらず2010年には史上最高値を更新しなかったものの、2011年にはドルー円は70円台を覚悟しなければならない。S1世界経済のポイント:第一にはやはり米国の景気動向であろう。 12月の失業率が9.4%に低下したことが明らかになった
が、今年も米国の雇用がさまざまな形で注目を集めるのではないか。それは、まさに今後のFRBの金融政策の行方を決定付けることになるし、2012年に本格化する大統領選に向けた財政政策の方向を規定することにもなる。予想では、年の前半は明らかな低下トレントは見えなくても、今年末までには失業率は9%を下回っ

ているのではないかとみている。

 

第二に重要なのは欧州の政府債務危機の行方だ。ギリシヤ、アイルランドまで来た危機が、果たしてさらなる広がりを見せるのか?これについては予断を許さないとだけ言っておきたい。ただし、2010年12月に合意した欧州安定機構(ESM)など、ユーロ圏にも金融危機を未然に防ぐためのセイフティー・ネットが決定され2013年からの運用が決まったし、それまでは新たに導入された欧州金融安定ファシリティーや欧州金融安定化メカニズムなどの運用がすでに始まっている。いわゆる安全弁は用意された。

 

問題は今年の高債務国を中心とした資金調達ニーズを、無理のない金利で乗り越えて行けるのかが早速試される。注目はなんと言ってもスペインだ。 2011年に総選挙を控えるサパテロ首相が、劣勢が伝えられる現状を跳ね返して改革を断行できるのかにかかっている。

 

第三は、中国経済の行方である。 20↓0年に利上げのクリスマス・プレゼントを贈った中国政府は、3月の全人代で今後の経済発展の目標を定めた第12次5ヵ年計画を決定する。持続可能な経済成長の実現とともに、地域間格差や国民生活の保障と改善などの目標が盛り込まれる。

 

市場はすでに経済成長が減速してインフレの安定を目指すことを前提に動いており、大きな波乱は起き得ないが、来年に迫る政権の移行に向けたさまざまな経済改革が注目される。なかでも、人民元の国際化を急ぐなかでさらなる柔軟化に向けた切上げも視野に入っており、引続き中国から目を離せない。

 

以上の海外要因は、日本経済にとってはリスクであるとともにチャンスでもある。日本は長らく経済が停滞し国力が衰えたとの認識が広がっているが、技術力だけでなく豊富な金融資産を戦略的に生かした政治力を行使することで世界に影響を与えればいいのではないか。

4-6月期以降は安定成長期待

日本経済の見通し:現状は以上に述べたほど簡単ではない。2月14日には10−12月期のGDPが公表され、実質GDP成長率は前期比で-0.4%程度のマイナスを記録したものと予想される。ただし、これは短期的な景気循環の振れであり、本質的な景気悪化ではないことに注意が必要だ。主に政策変更による個人の消費行動の変化によるものであり、リーマン・ショックを契機とした景気の落込みに対しての財政政策によって消費が前倒しされたことの反動だ。したがって、その影響は1-3月期まで及び、前期比十0.2%のわずかなプラスに留まりそうだ。

 

むしろ、ここでは景気変動の大きさを問題にしたい。財政による景気刺激政策は一時的に景気を押し上げる効果が大きいものの、財政は出し続けることができないため期間限定で実施される。そのため、終了後の反動は予想外に大きくなる。エコポイントや自動車の買い替え支援策は予想以上の効果をもたらしたため、その反動も大きめに出るため、2四半期程度の影響を引っ張ると見ている。

 

それに対して、一時期弱まっていた外需が息を吹き返し始めていることは幸運である。そのため、財政支援策の期限切れによる内需の息切れ分をある程度相殺し、必ずしも景気後退を見込むような景気の弱さにはならないだろう。 4-6月期以降は比較的に安定した成長に復帰する見込みだ。内需も外需も緩やかなプラスの寄与をするものと予想される。

 

日本経済のリスクは年の前半に集中するのではないか。円高は日本経済に多くのメリットをもたらすが、輸出企業の収益の悪化を通じて主にミクロ面から経済全体にマイナスの影響をもたらす。引続き欧米の景気や金融市場次第で為替市場は揺れそうだ。まだ、欧米の市場が安定する条件は満たされていない。

 

株式NY市場は上昇。ダウ平均は81.13ドル高の12279.01、ナスダックは26.21ポイント高の2756.89で取引を終了した。雇用統計を前に薄商いとなる中、3月消費者信頼感指数が予想を下回るなど冴えない経済指標が相次いだものの、リビア情勢の緊迫化を受けた原油高を背景に、エネルギーセクターに買いが広がり、終日堅調推移となった。為替相場(FX)ではドル円が80円近辺でもみ合い。方向性のない相場が続いている。